造血細胞移植

進行神経芽腫に対して、造血細胞移植が行われています。固形腫瘍なのに、なぜ骨髄を入れ替える必要があるのでしょうか。神経芽腫の場合、自家移植(自分の骨髄ないし末梢血幹細胞を事前にとっておいて、大量化学療法や放射線療法の後に戻すもの)が一般的です。これは、“普通では考えられないくらい大量の抗がん剤や放射線を使って腫瘍を根こそぎやっつける”ことが第一の目的です。それくらいたくさんの強い治療を行うと、造血をおこなっている骨髄はカラカラになって、血液が作れなくなってしまいます。そこで、事前にとっておいた自分の造血細胞を入れて(これを“移植”といいます)、もう一度造血が行われるようにします。ですから、自家移植というのは、骨髄を入れ替えるのではなく、いったん造血細胞を体外に“疎開”させて、強い治療を行った後に、また戻してあげるということになります。移植というと、手術で骨ごと骨髄を入れ替えるようなイメージを持つ方がいらっしゃると思いますが、実際には、幹細胞のはいった液を、輸血するのと同じように、点滴するだけです。きちんと血液を作れるようになるまでの期間(2-4週間)は、無菌室で過ごすのが一般的です。

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造血細胞移植とは

大量の抗がん剤や放射線で骨髄をカラカラにして、そこに血液の種とも言える“幹細胞”を移植します。幹細胞は血液の種ですから、赤血球や白血球、血小板(を作る細胞)に育っていき、正常の造血が再構成されます。これは、たとえていうと、骨髄という畑を除草剤(=抗がん剤)やブルドーザー(=放射線)で耕して、そこに種(=幹細胞)を植えることと同じです。そのあとに、きれいなお花畑(=正常の造血)ができれば、生着という意味で、移植は成功です。しかし、以前の治療で、畑(=骨髄)が荒れていたりすると、うまく種が育ちません。これを拒絶といいます。白血病などの骨髄そのものの病気の場合、再び雑草(=悪い細胞)が生えてくれば再発ということになります。幹細胞の種類によって、骨髄移植、末梢血幹細胞移植、臍帯血移植という種類があります。