神経芽腫のリスク分類

一般に神経芽腫は臨床病期,年齢,腫瘍細胞内のMYCN遺伝子のコピー数,国際病理分類,腫瘍細胞内の染色体の数(プロイディ)の5つの予後因子を用いて,3つのリスク群(低リスク,中間リスク,高リスク)に分類し,リスクに応じて治療法を選択しています.

これまでの治療成績では,診断から5年後の生存率は,低リスク群;75%以上,中間リスク群;50~75%,高リスク群;約50%に至らずと推定されます.

低リスク群:以下の3つの条件のうち,いずれかに属するものです.

  1. MYCN 遺伝子増幅がない病期1,2A,2B
  2. MYCN 遺伝子増幅がない病期3の乳児例
  3. 病理分類で予後良好群に属し,DNA indexが1以上の病期4S

中間リスク群:以下の4つの条件のうち,いずれかに属するものです.

  1. MYCN 遺伝子増幅がない1歳~1歳半の病期3の児
  2. MYCN 遺伝子増幅がない1歳未満の病期4の乳児
  3. MYCN 遺伝子増幅がなく,国際病理分類で予後良好群に属し,DNA indexが1以上の1歳~1歳半の病期4の乳児
  4. MYCN 遺伝子増幅がなく,かつ国際病理分類で予後不良好群に属するか,または,DNA indexが1の病期4Sの乳児

高リスク群:以下の4つの条件のうち,いずれかに属するものです.

  1. MYCN 遺伝子増幅がある病期2A,2B,3,4,4S
  2. MYCN 遺伝子増幅がない1歳半以上の病期3の児で,国際病理分類で予後不良群に属するもの
  3. MYCN 遺伝子増幅がない,1歳半以上の病期4
  4. MYCN 遺伝子増幅がない1歳~1歳半の病期4で,国際病理分類で予後不良群もしくはDNA indexが1を示すもの

以下に,近年制定された国際神経芽腫リスクグループ(INRG)のリスク分類を示します.低リスクは極低リスクと低リスクに分かれます.リスク分類には病期(INRGSS),月齢,病理,MYCN遺伝子,11番染色体長腕の異常,プロイディが予後因子として用いられています.実際にはこのリスク分類を基本に,各々の臨床研究の目的に応じて若干の変更を加えて使用されています.

◎INRGリスク分類

コメント:

リスク分類は今後,特別な染色体異常や遺伝子異常などの新たな生物学的因子の意義が明らかとなった場合,変更されてゆく可能性があります.