神経芽腫の予後
予後というのは治りやすさの目安とも言い換えることができます。よく「予後が良い、予後が悪い」という表現を用いますが、予後が良いということは治りやすいという意味です。
予後が良いか、悪いかということをあらかじめ治療開始前に予測することが可能です。予測するための因子(条件)を予後因子と言い、これまでの研究から、がんの種類により指標となる予後因子が判っています。
神経芽腫では臨床病期、発症時の年齢、腫瘍細胞の組織型/外観、腫瘍細胞の染色体数、腫瘍細胞内のN-myc遺伝子のコピー数が重要な予後因子であり、これらの因子を用いてリスク分類(リスク分類の項を参照)が行われます。
神経芽腫のリスク分類は低リスク、中間リスク、高リスクに分けられ、各々のリスクに応じた治療法が選択されます。
低リスクは最も治りやすいグループで、約9割の患者さんが手術のみの治療で治ると考えられています。残りの1割の患者さんは比較的弱い化学療法が必要ですが、全体でも90から100%の患者さんが長期生存します。このため治療による合併症をいかに少なくするかということが課題の一つです。
中間リスクは手術と低リスクより強い化学療法が必要です。また、転移がある場合にはその部位に放射線療法が行われます。これにより全体で70から90%の患者さんが長期生存します。治療に伴う合併症も見過ごせないことから、合併症を少なくし、治療成績をもっと向上させることが課題となります。
高リスクは最も治りにくいグループで、治療法の中心は化学療法です。最も強い化学療法と造血細胞移植を併用した超大量抗がん剤療法、放射線療法が行われることが一般的です。手術は補助的な役割となります。このような強力な治療にもかかわらず、全体の長期生存は約30%であり、生存率を改善することが最大の課題です。