化学療法

化学療法は抗がん剤と呼ばれる薬を用いて、がん細胞を殺傷してゆく治療法です。抗がん剤は主に内服と静脈注射によって投与され、投与された薬剤は血液に乗って全身のがん細胞に到達します。がん細胞内に取り込まれた抗がん剤はがん細胞の増殖を抑えたり、殺傷したりすることにより治療効果を示します。抗がん剤は単独で用いられる場合と、2種類以上を併用して用いられる場合があり、小児がんの多くは2種類以上の併用化学療法として行われることが一般的です。

使用される抗がん剤は、がんの種類とリスク分類(進行度や悪性度)によって異なってきます。神経芽腫で使用される薬剤はビンクリスチン、シクロホスファミド、イホスファミド、ドキソルビシン、ピラルビシン、シスプラチン、カルボプラチン、エトポシドなどが中心となり、これらを組み合わせた多剤併用療法として行われます。これらの薬はこれまでの長年の経験から神経芽腫に最もよく効くと考えられているものです。

使用される抗がん剤の組み合わせはリスク分類(低リスク、中間リスク、高リスク)に基づき決められ、手術療法や放射線療法と併用し、患者さんに負担が少なく、より良い治療効果を期待した治療法として計画されています。

低リスクでは、約9割の患者さんが手術のみで治療が行われ、手術で腫瘍が残ってしまった場合や生検のみの場合は、2から3ヶ月間の最も弱い化学療法が選択されます。
中間リスクでは手術と化学療法が併用され、化学療法は低リスクよりも強くなり、期間も4から7ヶ月と長く行われます。転移がある場合にはその部分に放射線治療が追加されます。
高リスクでは最も強い化学療法が選択され、これに放射線療法と造血細胞移植が併用されることが一般的です。治療期間は8から10ヶ月とさらに長期間となり、手術は補助的な役割と考えられています。

それぞれの抗がん剤には共通する副作用と各々に特有な副作用があります。この副作用は使用する抗がん剤の量、投与方法、投与間隔、組み合わせにより異なってきますので、化学療法を受ける場合には、十分な説明を受け、化学療法の経験のある専門医がいる施設で治療を受けることをお勧めします。