OMSに関する後方視的調査研究のお知らせ(2015年10月14日)

オプソクローヌス・ミオクローヌス症候群を合併する神経芽腫の臨床像と発生率を検討する後方視的調査研究のお知らせ

1.研究の背景と意義

神経芽腫は,我が国における発生数が年間約200人の稀少がんであり,低リスク群はその約30%と推定されます.低リスク群神経芽腫患者の予後は極めて良好とされていますが,一部の症例ではオプソクローヌス・ミオクローヌス症候群(OMS)を呈し,症状のコントロールが不良で重篤な神経症状を長期的に残す場合があることが知られています.

神経芽腫の低リスク群に関しては,腫瘍の予後が良好であることから,治療の合併症を最小限に抑える目的で,経過観察もしくは手術摘出が主な治療法となりつつあります.しかしながら,重篤な症状であるOMSを呈する低リスク群腫瘍に対する治療法は必ずしも明確でなく,その治療法の確立は重要な事項です.今後,適切な治療法の立案・計画を行うためには正確な情報が必要と考えられています.

以上のような背景から,本調査研究において,OMSを呈する神経芽腫の治療実態と予後について調査することを計画しました.患者様には,匿名で担当医からの報告という形で調査にご協力をお願いいたします.本研究の結果をふまえて,本症例に対する治療法を開発することが可能になると期待されています.

2.本研究の目的と研究デザイン

本研究は,JNBSG参加施設におけるOMSを呈した神経芽腫に対する化学療法,手術療法,補助療法などの治療の実態と,転帰(神経学的予後を含む)などの臨床的要因を検討し,治療実態を把握し,それをもとにOMSに対する治療法のガイドライン作成もしくは治療開発研究(臨床試験の構築)が可能であるかを検討することを目的とします.このために,多施設共同の中央登録方式の後方視的調査研究を実施します.

3.研究対象

1998年1月1日〜2013年12月31日の16年間に発症した神経芽腫患者様のうち,OMSを呈した方を対象とします.