神経芽腫に対する核医学治療(¹³¹I-MIBG)(2025年10月28日)

神経芽腫に対する核医学治療(¹³¹I-MIBG)

神経芽腫に対する放射性医薬品 ¹³¹I-MIBG が,国内承認薬「ライアット MIBG-I131静注(PDRファーマ)」 として保険診療で使用可能になりました.2025年9月に「MIBG集積陽性の神経芽腫」への効能・効果が追加されています.

¹³¹I-MIBGとは

¹³¹I-MIBG治療(ライアット MIBG-I131静注による核医学治療)は,腫瘍に集まる性質をもつ薬剤を体内に投与し,
体の内側から放射線を放出してがんを治療する「内照射(全身的放射線療法)」です.
リニアックなどで体の外から放射線を当てる「外照射」とは異なり,薬剤が腫瘍細胞の中に取り込まれ,がんを内側から選択的に照射することで効果を発揮します.MIBG(メタヨードベンジルグアニジン)は神経芽腫の腫瘍細胞に集まりやすく,これに放射性ヨウ素(¹³¹I)を結合させた薬剤が¹³¹I-MIBGです.治療には,国内承認薬「ライアット MIBG-I131静注(PDRファーマ)」 を使用します.

対象となる患者さま

  • 初発時または再発時に¹²³I-MIBGシンチグラフィで集積が確認される神経芽腫の方
  • (原則として高リスク群が対象です)
  • 治療の実施可否は、患者さまの全身状態・画像所見・既往治療などを総合的に評価し,MIBG治療実施施設の専門医が最終的に判断します.

投与量(国内承認情報に基づく)

投与量:1回296〜666 MBq/kgを1〜4 時間かけて点滴静注
注意事項:1回あたり444 MBq/kgを超える投与は,造血幹細胞移植が可能な患者に限る

※ 実際の投与量は,患者さんの体重や病状,治療歴などを踏まえ,安全性を考慮した上で各施設の判断により決定されます.

参照:ライアットMIBG-I131静注 添付文書(PDRファーマ)

一般的な治療の流れ(例)

  1. ¹²³I-MIBGシンチグラフィなどでMIBG集積の有無を評価
  2. ¹³¹I-MIBG治療実施施設で適応の最終判断
  3. 放射性物質を安全に扱うための特別な病室(RI病室)に入院し,放射性医薬品「ライアット MIBG-I131静注」を点滴静注します(治療中および直後は,放射線防護のためこの病室で管理されます).
  4. この特別な病室は放射線管理区域のため,ご家族の同室や面会には制限があります.特にお子さまの場合,一定期間をこの部屋で過ごす必要があるため,ご家族にはあらかじめ準備や心構えをお願いしています.
  5. 投与後は体内放射線量が安全基準以下になるまで入院で経過観察を行い,その後は外来でフォローアップします(必要に応じて再入院する場合もあります).

安全性について

  • 治療は放射線防護設備を備えた特別な病室(RI病室)で行い,放射線管理区域内で安全に実施されます.治療前には甲状腺ブロックなどの標準的な放射線防護対策を実施します.放射線被ばく管理,副作用の確認,造血抑制への対応などを専門チームが行います.副作用の多くは一過性で管理可能ですが,詳しくは主治医より個別に説明いたします.

治療をご希望の方へ

¹³¹I-MIBG治療(ライアット MIBG-I131静注による核医学治療)は,実施できる施設が限られています.そのため,すぐに治療を受けられない場合や,予約・調整に時間を要する場合があります.治療をご希望の際は,まず現在の主治医の先生にご相談ください.主治医を通じて,¹³¹I-MIBG治療を実施している施設に紹介・連絡が行われます.

主治医の先生方へ

会員ページ:神経芽腫に対する核医学治療(¹³¹I-MIBG)受入施設(2025年10月28日)に記載の施設に連絡ください.